国籍ではなく、言動のパターンを見る
オンラインの出会いには、楽しいやり取りもあれば、誤解や行き違いもあります。返事が遅い、英語がうまく通じない、予定が変わったといった出来事だけで、相手を詐欺師と決めつける必要はありません。生活時間や仕事、使う言語が違えば、説明が足りなくなることもあります。
一方、話のつじつまが何度も合わない、質問への答えを避け続ける、秘密にするよう求める、断っても金銭を要求する、といった行動が重なるなら注意が必要です。出身地や居住国、名前、話す言語は、その人が信頼できるかどうかを示す証拠にはなりません。相手がどの国に住んでいるかにかかわらず、同じ基準で判断しましょう。
急に親密になり、判断を急がせる
会話を始めたばかりなのに「運命の人だ」「すぐに結婚したい」などと言われることがあります。気持ちの表現が早いことだけで問題とはいえません。ただ、相手のことをほとんど知らない段階で将来の約束を迫り、返事を急がせたり、周囲に相談しないよう求めたりする場合は警戒してください。
とくに「愛しているなら信じて」「秘密にしなければ関係を終える」など、罪悪感や不安を利用して判断を変えさせようとする言い方は、健全なコミュニケーションではありません。自分のペースを守ってよいのです。交際への希望は率直に伝えつつ、実際の信頼は時間をかけて確かめていきましょう。
航空券・治療費・投資などの送金依頼に注意
最も明確に立ち止まりたいのは、まだ十分に関係を確かめられていない相手からお金を求められたときです。「会いに行く航空券代が足りない」「家族が急病になった」「通関や手数料が必要」「二人の未来のために投資を始めよう」など、理由はさまざまです。深刻な話に聞こえても、メッセージだけで事実を確かめることは難しく、送金すれば取り戻せるとは限りません。
投資の勧誘では、専用サイトやアプリに誘導され、最初だけ利益が出ているように見える場合もあります。恋愛感情と金銭判断を結びつけないでください。暗号資産、海外送金、ギフトカード、第三者名義の口座など、方法を指定して急がせる場合も危険です。
写真や肩書だけで相手の本人確認はできない
きれいな写真、立派な職業、整った自己紹介は、その人が実在する証明にはなりません。逆に、写真の枚数が少ない、外国語の文章が不自然といった理由だけで相手を疑うのも適切ではありません。見るべきなのは、プロフィールに書かれた生活の様子と、その後の会話が大きく食い違っていないかどうかです。
たとえば、以前話した仕事内容が毎回変わる、居住国について質問しても一貫した説明がない、会う約束の直前になると必ず新しい費用が必要になる、といった矛盾には注意が必要です。写真の画像検索など外部サービスで調べる方法もありますが、似た写真が見つからないからといって本人である保証にはなりません。
怪しいリンク、認証コード、身分証の要求を断る
「あなたの写真を見つけた」「本人確認をするにはこのページへ」といったメッセージで、知らないサイトへのリンクが送られてくる場合があります。ログイン画面のように見えても、パスワードや決済情報を盗むためのページかもしれません。知らない相手から届いたURLは急いで開かず、必要なら公式サイトや公式アプリを自分で開いて確認してください。
SMSなどに届く認証コード、ログイン用パスワード、銀行口座やカードの情報、パスポートや身分証の画像は、相手に渡さないでください。「二人の信頼の証拠」「登録の手続きに必要」という説明でも同じです。相手に頼まれてスマートフォンやパソコンの遠隔操作を許可することも避けましょう。
- 不審なURLを開いてしまっても、情報を入力する前に閉じる。
- 認証コードやパスワードを送ってしまった場合は、対象サービスの公式窓口からアカウント保護の手続きをする。
- カード情報を渡したり送金したりした場合は、銀行・決済事業者に速やかに連絡する。
- 身分証の画像を送ってしまったときは、発行元や関係機関の案内を確認し、必要な対処を相談する。
外部アプリへの移動と通話の扱い方
メッセージを始めた直後に「ここでは話せない」「すぐ別のアプリに移ろう」と強く迫られる場合は、理由を考えてみましょう。外部アプリを使いたいこと自体は不自然ではありません。しかし、相手のことが分からないうちに電話番号や個人アカウントを知らせる必要はありません。公開したくない情報は、自分の判断で守れます。
音声やビデオで話せると、文字だけでは分からない雰囲気を感じられることがあります。ただし、時差、通信環境、プライバシーなどの理由で、すぐに通話できない人もいます。一度断られただけで詐欺と断定しないでください。説明が繰り返し変わり、どんな方法でも自然な確認を避け、さらにお金を求めるような場合には注意が必要です。
使う言語について不安があれば、言葉が違う相手とのコミュニケーションも参考にしてください。誤訳と意図的なごまかしを混同せず、分からないところは落ち着いて質問しましょう。
不審に思ったときの対処手順
「何かおかしい」と感じたら、まず送金や個人情報の提供を止めましょう。すぐに相手を問い詰める必要はありません。問題のあるメッセージ、相手のプロフィールに表示されていた情報、送金先やURLなどを、自分が安全に保管できる範囲で記録しておくと、その後の相談に役立つ場合があります。
- 送金、投資、認証コードの共有、個人情報の送信を中断する。
- 重要なやり取りと支払いの記録を保存し、必要に応じて相手との連絡を止める。
- サイトに報告機能や問い合わせ窓口がある場合は、該当する内容を運営に伝える。
- お金を送った場合は、銀行や決済サービスにできるだけ早く連絡する。
- 脅迫、金銭被害、不正アクセスなどの疑いがあれば、居住地の警察や公的な消費者相談窓口に相談する。
相手が「運営や警察に相談したら大変なことになる」と脅しても、一人で抱える必要はありません。信頼できる家族や友人に状況を話すことも選択肢です。日本にいる場合は、警察相談専用電話「#9110」や消費者ホットライン「188」などの公的な案内を確認できます。日本国外に住んでいる場合は、その国・地域の公的な相談先を利用してください。
初めて会うときは、自分で移動と宿泊を管理する
やり取りが順調に進み、互いに会ってみたいと思ったら、初対面は人のいる公共の場所を選びましょう。会う場所や時間は二人で相談し、どちらも無理なく帰れる予定にしておくと安心です。初めて会う相手に自宅住所を教えたり、空港からの移動や宿泊をすべて任せたりする必要はありません。
海外へ移動する場合は、旅券、交通機関、宿泊先、帰りの予定を自分で確保してください。訪問先の入国条件や治安情報は、出発前に公式情報で確認することが必要です。相手のために先に航空券代や手数料を送るよう求められても、支払いを急がないでください。
最初の対面は、結婚や同居を決めるための審査ではありません。普通に会話できるか、約束を尊重できるか、また会いたいと思えるかを、双方が自分の意思で確かめる機会です。遠距離での交流を考えている方は、海外在住の人との出会いの案内も参考にしてください。
安全のためのチェックリスト
国際恋愛で大切なのは「誰も信用しない」ことではなく、信頼を少しずつ確かめ、自分の判断を保つことです。次の点を、ときどき見直してみましょう。
- 相手の言葉と行動に、繰り返し大きな食い違いはないか。
- 会う前に金銭や投資の話を持ち出されていないか。
- 断ったときに、怒りや脅しで判断を変えさせようとしていないか。
- 個人情報や認証コードの共有を求められていないか。
- 無理な通話や外部アプリへの移動を迫られていないか。
- 第一回の対面で、自分で移動し、自分の判断で帰れる計画になっているか。
相手を知ることと、自分を守ることは両立できます。最初のメッセージも、プロフィールも、無理のない情報から始めれば十分です。少しずつ相手を知り、心配な点があれば立ち止まる。その姿勢を忘れずに、自分に合う出会いを探してみてください。